イーサリアムのロールアップとEIP-4844:DAレイヤーの重要性

スケーラビリティトリレンマとロールアップ
長年、イーサリアムは分散化、セキュリティ、スケーラビリティのバランスを取る「スケーラビリティトリレンマ」に悩まされてきました。その解決策として登場したのがロールアップです。ロールアップは実行をLayer 1(L1)からよりコスト効率の良い環境に移行し、ZK(ゼロ知識証明)またはOP(不正証明)を通じて正しさを保証します。しかし、ロールアップには実行の整合性だけでなく、データ可用性(DA)も必要です。
DAレイヤーとは?
DAレイヤーは、データが十分な期間公開され、関係者がアクセスできることを保証します。これがないと、ロールアップは状態の回復性を確保できず、ユーザーの信頼を損ないます。現在、ほとんどのロールアップはコールデータにデータを埋め込むことでイーサリアム自体をDAレイヤーとして利用していますが、これは高コストな方法であり、EIP-4844で最適化が図られます。
EIP-4844:Proto-Dankshardingの登場
EIP-4844は、ブロブトランザクションという新しいフォーマットを導入します。ブロブはコールデータとは異なり、スマートコントラクトからアクセスできず、コミットメントのみがオンチェーンに保存されるため、コストが削減されます。これにより、ロールアップのコストを抑えつつセキュリティを維持できます。
EIP-4844の主な特徴:
- 独立したフィーマーケット: ブロブガスの価格はL1ガス料金とは独立しており、ロールアップがボラティリティの影響を受けにくくなります。
- 一時的なストレージ: ブロブは約18日間保持され、検証には十分ですが永続的ではありません。
- KZGコミットメント: イーサリアムの状態を肥大化させることなくデータ整合性を保証します。
ScrollのDAアプローチ
ZKロールアップであるScrollは、DAのためにイーサリアムを利用しています。EIP-4844導入後は、コールデータからブロブへの移行により、コストを削減しつつセキュリティを維持します。ScrollのzkEVMの一部であるPI回路は、暗号証明を用いてブロブの一貫性を検証します。
今後の展望:Danksharding
EIP-4844は始まりに過ぎません。完全なDankshardingでは、データ可用性サンプリング(DAS)が導入され、ノードが大きなブロックを効率的に検証できるようになります。それまでの間、ロールアップはブロブまたは代替のDAレイヤーを通じてコストとセキュリティのバランスを取る必要があります。
どう思いますか?EIP-4844がイーサリアムの未来をどう変えると思いますか?ぜひコメントをお寄せください。